単純環
単純環(たんじゅんかん、英: simple ring)とは、両側イデアルが自明なものしかない環である。一般に単純環は半単純環とは限らない。
定義[編集 | ソースを編集]
環 $\Lambda$ が単純であるとは、$\Lambda$ は0でなく、両側イデアルが0と $\Lambda$ のみであるような環をいう。
単純アルティン環[編集 | ソースを編集]
両側イデアルを考えているか片側イデアルを考えているかの差により、単純環は半単純環とは限らない。しかし無関係ではなく、次が知られている。
命題
環 $\Lambda$ について次は同値である。
- $\Lambda$ は単純環かつ(右もしくは左)アルティン環。
- $\Lambda$ は半単純環かつ連結環である。
- ある可除環 $D$ と非負整数 $n$ が存在して、$\Lambda$ は $M_n(D)$ と同型。
これを満たす環のことを単純アルティン環(simple artinian ring)と呼ぶ。
また他の注意ポイントとして、上の条件は「右加群として単純加群」とは違う(一番下の条件を考えれば反例がある)。この条件はちょうど可除環になる。
森田不変[編集 | ソースを編集]
環が単純環であるという性質は森田同値で保たれる性質である。これは、森田同値で両側イデアルのなす束が保たれることや、もしくは上の特徴づけを用いても分かる。